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倚松庵

倚松庵の口コミレビューと感想!

倚松庵へ遊びに行こう!

倚松庵

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倚松庵(いしょうあん)は神戸市東灘区にある作家、谷崎潤一郎の元自宅。谷崎は引越しが多いことで有名でしたが、倚松庵は関西在住の中で最も長い日数を過ごしています。現在、倚松庵を150m移設した上で市民に公開しています。

倚松庵の口コミと感想レビュー

谷崎潤一郎は神戸、阪神間を代表する作家といって過言ではないでしょう。谷崎潤一郎は1886年、東京の日本橋で生まれます。デビュー作は1910年に発表した『刺青』です。関西移住にきっかけとなったのが1923年に発生した関東大震災でした。谷崎一家は箱根で被災。

そのまま、関西に移住したのです。今回紹介する倚松庵に引っ越したのは1936年、谷崎潤一郎、50歳の時でした。この時、谷崎潤一郎には妻、松子と娘4人がいました。倚松庵で谷崎潤一郎は後に代表作となる名作『細雪」を執筆したのです。

『細雪』は谷崎家を描いたストーリーとなっており、倚松庵もたびたび『細雪』に登場します。いかに、谷崎潤一郎が倚松庵を気に入っていたか、わかるでしょう。

谷崎潤一郎は1943年に倚松庵を離れ、1965年に神奈川県湯河原町の自宅で亡くなります。79歳の生涯でした。谷崎純一郎は関東出身ですが、このように関西を拠点に活躍した作家です。そのため、阪神間には谷崎潤一郎にまつわる博物館が数多く存在します。

さて、倚松庵は現役当時のままで残されており、内部もくまなく見学できます。また、中には谷崎潤一郎の作品や手紙が展示されています。倚松庵の敷地内にある美しい庭も見どころのひとつです。今回は倚松庵へ行ってきたので、写真付きで感想をレビューします。 

倚松庵へのアクセスは?

倚松庵の最寄駅は阪神、六甲ライナーの魚崎駅。阪神魚崎駅から倚松庵までは徒歩6分です。阪神魚崎駅には全ての電車が止まるので、大阪、神戸、奈良から簡単にアクセスできます。
 

倚松庵の最寄駅は阪神、六甲ライナー魚崎駅です。阪神魚崎駅には全ての電車が止まるので、大阪、神戸三宮、奈良方面から簡単にアクセスできます。梅田から魚崎へは22分、神戸三宮から魚崎へは8分、奈良から魚崎へは約90分です。



阪神魚崎駅を降りたら外には出ずに、六甲ライナー魚崎駅への連絡通路を渡りましょう。写真で説明すると、駅舎から伸びているガラス張りの通路です。そのまま、通路を進むと六甲ライナー魚崎駅に着きます。

六甲ライナー魚崎駅に着いたら、西出口に出ましょう。西出口からは住吉川に沿って、北方向に真っすぐ歩きます。歩くこと5分くらいで、倚松庵に着きます。阪神魚崎駅からの所要時間は約6分です。

住吉川

なお、天気のいい日は周辺を流れる住吉川を散歩するのもいいでしょう。また、魚崎駅の南側には菊正宗や白鶴といった酒造メーカーの資料館があります。酒造メーカーの資料館とセットにして訪れるのもいいかもしれません。 

倚松庵はどんなところ?おすすめポイントは?

倚松庵は関西、日本を代表する作家、谷崎潤一郎が7年間にわたって暮らしていた自宅です。倚松庵は木造瓦葺2階建てとなっており、1929年に建てられました。敷地面積は約440平方メートル(約130坪)です。倚松庵から谷崎潤一郎の代表作『細雪』が生まれました。

倚松庵は建物外だけでなく建物内も見学できます。最近、あまり見られなくなった昭和時代の木造住宅をくまなく見学できます。とても風通しがよく、和風建築ならではの心地よさが感じられるところがポイントです。

また、中には谷崎潤一郎の作品や手紙が展示されています。倚松庵にいると、小説『細雪』の世界にどっぷり浸ってしまうことでしょう。 

小説『細雪』が生まれた心地よいスポット、倚松庵

倚松庵内部は心地よい風が入り、和風建築の良さを実感できます。1階はモダンな応接間と食堂が目玉。部屋全体だけでなく、照明や椅子などの調度品にも注目しましょう。全ての部屋には『細雪』で書かれた部屋の描写が紹介されています。

小説『細雪』が生まれた心地よいスポット、倚松庵

倚松庵は道路沿いにあるので、比較的わかりやすい場所にあります。ただし、パッと見ると、一般的な木造建築ですので、見過ごさないようにご注意ください。

外見はどこにでもあるような木造建築ですが、言葉では表現できない風格を感じます。なお、一般公開は土曜日・日曜日のみとなっています。

倚松庵では毎月1回のペースで、武庫川女子大学教授、たつみ都志氏による無料案内が行われます。なお、無料案内は不定期で行われますので、気になる方はNPO法人 潤(072-754-2116)に連絡しましょう。

倚松庵の庭

倚松庵の玄関付近にはこのように美しい庭が広がっています。住吉川から聞こえてくるせせらぎと相まって、落ち着いた雰囲気。とても、都会にいるとは思えません。玄関を入ると、靴を脱いでスリッパに履き替えます。倚松庵は入場料無料ですので、そのまま中に入りましょう。

倚松庵の応接間

進行方向左側にある大きな部屋が応接間です。応接間に入る前に屋根に吊り下がっているお椀のような道具をチェックしてください。これは照明器具なのですが、間接照明になっています。

残念ながら訪れたのが日中だったので、間接照明が使われている場面をチェックすることはできませんでした。

応接間には重厚なソファが並んでいます。応接室からは庭が眺められ、庭からは心地よい風がスーッと入ってきました。テーブルには美しい花が生けてあり、現役さながらの姿となっています。

倚松庵のステンドグラス

こちらはドアにあるステンドグラスです。部屋のドアにステンドグラスがあるのは珍しいのではないでしょうか。このステンドグラスがアクセントとなっており、部屋全体にはモダンな雰囲気が漂います。

倚松庵の食堂

応接間のすぐ横に食堂があります。小説『細雪』によると、食堂にいると応接間からの話し声はよく聞こええたそうです。食堂で印象的だったのが伸縮可能な椅子。この椅子は谷崎潤一郎らしい優美なデザインとなっています。

倚松庵の風呂場

倚松庵にある多くの部屋は現代でも通用しますが、唯一、時代を感じさせたのが風呂場です。実際に見るとわかりますが、本当に風呂場のサイズが小さいのです。いかに、風呂場の近代化がこの100年で進んだのかよくわかります。

サッと1階を紹介したところで2階に上がりましょう。2階へは昔ながらの階段を上がります。少し薄暗く急になっているので、足元にご注意ください。

倚松庵の和室

2階は全ての部屋が和室となっています。最初に紹介するのが川沿いにある八畳の日本間です。畳特有の臭いと心地よい風との組み合わせがたまりません。横になっていると、思わずウトウトしそうになります。

八畳の日本間

ところで『細雪』が好きな方はこの八畳の日本間を必ずチェックしてください。なぜなら、『細雪』のスタートはこの八畳の日本間です。有名な序文「こいさん、頼むわ。ー」もこの部屋から生まれたのです。その時のシーンが目の前に蘇ってくるような雰囲気ですね。

隣の部屋では倚松庵と谷崎潤一郎との関わりを説明する資料が展示されています。実は、谷崎潤一郎は倚松庵のオーナーから立ち退きを宣告されていたにも関わらず、しばらく倚松庵に住み続けたのです。その時のいきさつが生々しく説明されていました。

オーナーが谷崎潤一郎に送った内容証明郵便のコピー

そして、オーナーが谷崎潤一郎に送った内容証明郵便のコピーまでありました。きっと、谷崎潤一郎はよっぽど倚松庵を気に入っていたのでしょう。結局、谷崎潤一郎は1943年に倚松庵を去ることになりました。

和室の硯

最後の和室には硯が置いてある机がありました。きっと、谷崎潤一郎はこのような環境で執筆に励んでいたのでしょう。どのような気持ちで『細雪』が生まれたのか、それを想像しながら倚松庵を回るのもいいでしょう。

美しい庭を鑑賞するのも楽しい、倚松庵

倚松庵の庭は決して大きくありませんが、気持ちよく鑑賞できます。

美しい庭を鑑賞するのも楽しい、倚松庵

倚松庵のもうひとつの目玉が庭です。決して規模は大きくないのですが、手入れが行き届いているので、気持ちよく鑑賞できます。倚松庵の庭の特徴はとにかく草が多いこと。

私が訪れたのは4月の時でしたが、あまり花は咲いていませんでした。これが、谷崎潤一郎の趣味かどうかは確認できませんでした。

庭から見る倚松庵

庭から建物を撮影すると、このようになります。まるで、映画のセットのようですね。季節を変えて訪れると印象は変わるかもしれません。また、内部からは気づきにくい、内部と外部を隔てるモダンなガラス戸はチェックしたいところです。 

倚松庵のトイレは?

倚松庵には利用可能なトイレがありません。また、周辺にはコンビニもありません。トイレを利用したい場合は六甲ライナー魚崎駅構内にあるトイレを使いましょう。したがって、倚松庵を訪れる場合は事前にトイレを済ませておくことをおすすめします。
 

倚松庵のおすすめ度は?

まず、谷崎潤一郎に興味のある方、日本文学に興味のある方におすすめしたいスポットです。きっと、『細雪』、谷崎潤一郎の世界にどっぷりと浸ることができるでしょう。また、阪神芦屋駅の周辺には谷崎潤一郎記念館があります。

谷崎潤一郎を深く知りたい方は、谷崎潤一郎記念館とセットにして訪れることをおすすめします。子供ですと、親御さんが十分に説明しながら見学するのがいいでしょう。また、内部には少し急な階段があるので、小さな子供には向きません。小学校5年生以上向けの施設といえます。 

倚松庵の施設概要

住所 兵庫県神戸市東灘区住吉東町1-6-50(地図)
連絡先 078-842-0730
最寄駅 六甲ライナー魚崎駅、阪神魚崎駅
アクセス 六甲ライナー魚崎駅から徒歩2分、阪神魚崎駅から徒歩6分
営業時間 10:00~16:00
休園日 土曜日・日曜日以外
料金 無料
駐車場 なし
公式サイト http://www.city.kobe.lg.jp/


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この記事を書いた人

如月柊

道端でネコを見かけるとついつい走り寄ってしまう猫好きライターです。あまりにしつこくなぜなぜするので、愛猫からは猫キックしまくられるという冷遇ぶり。でも、猫は気まぐれでもかわいいから許すということで、日々猫と格闘しています。